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内戦が続くシリア情勢ですが、8月26日にダマスカス近郊で化学兵器が使われたとの疑いが浮上し、国連の調査団が現地調査を開始しました。
調査団は31日にシリアを出国する予定です。国連の調査結果は出ていませんが、
アメリカのオバマ大統領は化学兵器を使用したアサド政権に対して軍事攻撃する意向を表明しています。
イギリスのキャメロン首相もアメリカと一緒に軍事介入を目指しましたが、アサド政権の非難決議がイギリス下院で否決され、軍事介入に参加できなくなりました。
アメリカがイラク戦争の大儀にした大量破壊兵器が結局見つからなかったことに対する、トラウマが化学兵器の使用を根拠に参戦することに二の足を踏ませています。
内戦状態の中で、誰が化学兵器を使ったのかを特定することは困難です。政府軍と、反政府軍の両者が使用した可能性もあります。根拠薄弱な大儀にうんざりしているのです。
筆者には軍事介入の大儀を建てるテクニックとして、懲りもせずに大量破壊兵器の存在や使用を言い立てるのは上手な政治とは思えません。 トラウマを持った人々から拒否反応が出るのは当然です。大儀は、人々が自然と従えるもの、戦争に参加する国民一人一人が自分を納得させるものです。
大義には問題があっても、アメリカ軍は命令があれば従います。時が来れば軍事攻撃となります、シリアはどうなるのでしょうか。
占的: シリアのアサド政権の運命は。
得卦:沢雷随の六二
卦辞:随。元亨利貞。无咎。
卦の意味:貞(ただし)ければ元(おお)いに亨る。貞(ただし)ければ咎(とが)もない。
爻辞:小子に係りて、丈夫を失う。
爻の意味:手近な小利に釣られて、大切な本文を失ってしまう。
随は元・亨・利・貞の四徳がそろっためでたい卦といえましょう。しかし貞しくなければいけません。
随は、従うという意味がある。下の卦は震で動くの意味、上の卦は兌でよろこぶの意味。こちらが動いて、相手がよろこぶ。自分が虚心に相手に随うということ。
では、六二の爻辞はどうか。六二は九五と応じているが遠いので、近いところの初九と応じようとする。初九とは隣り合わせでひかれてしまう、本来応じるはずの立派な九五に随わない。
初九に随い、大事な九五を失う。本末転倒、利をみて義を忘れるということ。貞しい相手に随っていない。
シリアのアサド政権、内戦が長引く中でも化学兵器は我慢して使用してこなかったのではないか、これは貞しい。しかし、小子に係りて、化学兵器を使用してしまった。
その結果、大切なものを失ってしまうのではないか。
戦争に人道はないかもしれないが、守るべきものもあるはず。内戦のはじめは、自重したことでも、タガが外れたとき。貞しさを失った。シリアの政権側には悪い状況とみます。