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2014.11.16 消費税率10%への引き上げ予定は見直されるか、見通しいかん。

2014年(平成26年)4月に消費税率は5%から8%へ引き上げられました。次は2015年9月に消費税率が10%に引き上げられることが法律で決まっています。 ここにきて、衆議院の解散総選挙と消費税率の引き上げ先送りの風聞がやかましくなっています。安倍総理は海外にいますが、国内では選挙態勢に一気に入ったような雰囲気になっています。 消費再増税の先送りには、法律の改正が必要となりますし、かつて与党の民主党と野党の自民党が合意して成立した消費増税の政策を変更することに国民の信を問う必要があるというストーリーのようです。 消費増税は延期されるでしょうか。

占的:消費税率10%への引き上げ予定は見直されるか、見通しいかん。

得卦:天火同人の九四

卦辞:人と同じうするに野においてす。亨る。大川を渉るに利あり。君子の貞しきに利あり。

爻辞:九四。其の墉(よう)に乗る。攻むるあたわず。吉。

爻の意味:垣根に上って攻め込もうとする。しかし、九四は自分の行為が正しくなく勝てないことを知っているから、結局攻めることなく終わる。このように過ちを改めれば吉。

10月31日に日本銀行の黒田総裁は金融緩和のバズーカ2発目を打ち上げました。消費税増税を援護射撃するために打ったものです。 黒田総裁は 「政府の財政健全化の意思、努力が市場から疑念を持たれることになると、確率は低いとは思うが、そういった事態が起きると、政府・日銀としても対応しようがない」 と従前から繰り返し発言してきました。 11月に入ってから政治の増税先送りの動きには恐怖を感じ始めているのではないかと想像します。 それでなくとも10月31日の政策決定会合では賛成5反対4の薄氷の追加緩和決定でした。
国債を日銀が引き受けているという事実がいつ周知の事実となるか。日銀総裁の国債の引受ではないとする強弁が通用するのは総裁が権威を備えているからです。 日本銀行が政治から梯子を外されたと分かったとき、総裁は権威を失うでしょう。日本銀行はすでに200兆円規模の国債を抱え込んでいるのです、GDPの4割に達する金額です。 一瞬でも信用がぐらついたならば雪崩を打って、円は暴落し国債も急落することでしょう。
消費増税延期はえらくリスクの高い道になります。今の予算を前提に国債は毎年50兆円以上増え続けます。国債の信用が保たれなければ一瞬で地獄の口が開きます。 今年4月の増税後の不景気は数字で明らかではありますが、失業率はヨーロッパに比べて十分低い水準といえるし、経済好調のアメリカと比べても低い。それでもスーパーハイリスクの道に引き寄せられるのでしょうか。
九四にある通り、攻め込みそうなところまでは見せても本当に攻め込んではいけない。無理に増税を延期すれば、結果は凶が必然。

もしも、消費増税延期となった場合には、危機対応が必要となりましょう。


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