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2015.1.5 2015年アベノミクスの見通しいかん。

新年あけましておめでとうございます。

昨年末には総選挙が実施され、自民党の圧勝に終わりました。安倍内閣はほとんど留任で新年を迎えました。総選挙前にはGDPの2四半期連続の大幅なマイナス成長が発表されて、景気の山は越えていることが分かっています。
アベノミクスを続けていけば景気はどんどん良くなるように宣伝されていますので、実態とのかい離は相当なものです。今年のアベノミクスはどうなるでしょうか。

占的: 2015年アベノミクスの見通しいかん。

得卦:水雷屯の初九

卦辞:屯はおおいにとおるただしきによろし。もって往くところあるなかれ。侯(きみ)を建てるに利あり。

卦の意味:屯は下卦が動、上卦が険。動きがある点で大いに亨る可能性がある。 しかし、前方には険があるから、正しい態度を固守しなければならない。軽率に進む時ではない。大いに通る可能性があるものの、急いで進んではいけない。
次に、侯(きみ)を建てるに利あり。はどう解するか。屯の時は世が開けようとして、まだ草創の時であり、不安定で規律がない。今こそ君を建てる時で、安寧の時ではない。

爻辞:初九。磐桓(はんかん)す。貞に居るに利あり。侯を建つるに利あり。

爻の意味:磐桓は進みにくくて躊躇すること。初九は、陽爻で一番下にいる。下卦の動の一部であるから、当然動こうとするが、応ずる六四は上卦の険の一部で落とし穴になっていて進めない。
初九は進めなくても、貞を守ればよい。

昨年後半あたりから、アベノミクスに対する海外の評価が変わってきているようです。好景気を作り出すはずが、GDPはマイナス成長ですから、失敗したとみるのでしょう。
一つは「バンザイノミクス」というネーミングです。 大東亜戦争時のバンザイ突撃を連想させます。負け戦の典型。無意味な抵抗。国民の不必要で悲惨な犠牲。 指導者層の責任の先延ばしのためにしているにすぎません。作戦展望なしに突撃を強行する姿が日銀の国債買占めの姿に重なるということでしょう。
もう一つ紹介します。イギリスのBBCでは、12月14日の記事の中で、What is Abenomics?として日本でアベノミクス3本の矢と言われているものを解説しています。
It involved three main proposals:
Printing vast amounts of money to boost Japan's purchase of government bonds (monetary policy)
Sharply increasing government spending to help spur growth (fiscal stimulus)
Reforming key sectors such as agriculture, healthcare and energy (structural reform).
一つ目の金融政策は大量にマネーを印刷して、国債を買うことと解説しています。つまり、マネタイゼーションがアベノミクスの柱だと言っています。日本では、日銀総裁が国債の日銀引き受けではないと答弁していて、 そのまま受け止められていますが、どうも海外の受け取り方はすでに一線を越えているのではないかと感じます。
大東亜戦争の末期、ヤルタ会談が行われているときにも多くの日本人は、戦勝を信じていたか、ソ連の仲裁を当てにしていたりして、世界におかれた自国の立場を知らずに命を落としていきました。 筆者は、アベノミクスには同様の怖さを感じます。

屯の卦は、3大難卦に次ぐ困難な時です。 国債の日銀引き受けは、短期的には劇薬効果でプラス、中長期的には破滅。短期的に手仕舞う予定が、反故にされて更に劇薬を増やしていくしかないようです。3年目ともなれば行き詰るのは必至。
日銀が買う国債が足りなくなったと言って、政府が赤字国債を増刷する笑えない事態もあり得ます。
我々は、次の準備に入る時です(侯を建てるに利あり)。


©Tanaka Masao 2011-2015